**************** 名歌鑑賞 *************** 


春なれば 花の馬酔木も 咲きにけり 母とはなりし
そのかみの子よ
                  濱田盛秀
 
(はるなれば はなのあしびも さきにけり ははとは
 なりし そのかみのこよ)

意味・・今は春なので、馬酔木の木も、枝々に壺状の白
    い花をいっぱい咲かせている。嫁いで行って、
    もう幸せな母になっている、あの頃の娘(こ)よ。

    嫁いで行き人妻となり、子供を生み、今は幸せ
    な母となっている昔の恋人のことを、長い冬籠
    りを過ぎて春を告げる、真っ白な馬酔木の花の
    盛りを見るにつけて、その幸せを心中深く祈り
    つつ、淋しくもなつかしく連想した歌です。

 注・・馬酔木(あしび)=つつじ科の常緑低木。早春に
     白色でつぼ状の小さな花が咲く。葉は有毒。
    そのかみの子=あの頃の娘。昔の恋人あるいは
     自分の方で恋しく思っていた人。

作者・・濱田盛秀=はまだもりひで。詳細未詳。
 
出典・・新万葉集・巻六。