**************** 名歌鑑賞 ****************

 
谷川の うち出づる波も 声たてつ うぐひすさそへ
春の山風
                 藤原家隆

(たにがわの うちいずるなみも こえたてつ うぐいす
 さそえ はるのやまかぜ)

意味・・谷川の氷を破って勢いよく流れ出る白波も声を
    たてている。さあ、お前も鳴けよと、うぐいすを
    誘い出しておくれ。梅の香を運ぶ春の山風よ。

    選びぬかれた言葉で技巧を凝らして詠んだ歌です。
    波の白は視覚、波の音、期待するうぐいすの声
    は聴覚、そして、春風は頬にさわる触覚であり、
    梅の香をもたらす臭覚である。

 注・・うち出づる波=解けた氷の間をほとばしり出る
     波。
    春の山風=花の香を運ぶという春の山風。花は
     早春の香りの高い花で梅の花。

作者・・藤原家隆=ふしわらのいえたか。1158~1237。
    新古今和歌集選者の一人。

出典・・新古今和歌集・17。