**************** 名歌鑑賞 ***************


萌え出づる 木の芽を見ても 音をぞ泣く かれにし枝の
春を知らねば
                    兼覧王女

(もえいずる このめをみても ねをぞなく かれにし
 えだの はるをしらねば)

詞書・・かれにける男のもとに,住みける方の庭の木
    の枯れたりける枝を折りてつかはしける。

意味・・春になって萌え出る木の芽が見られるように
    なりましたが、私は声を上げて泣いておりま
    す。枯れた枝は春になっても萌え出ることが
    ないのと同様に、あなたに離(か)れられた私
    に春は関係ありませんので。

 注・・かれ=「枯れ」と「離れ」を掛ける。

作者・・兼覧王女=かねみのおおきみのむすめ。伝未
    詳。

出典・・後撰和歌集・14。