***************** 名歌鑑賞 ****************** 


くさまくら まことの華見 してもこよ
                     芭蕉
                     
(くさまくら まことのはなみ してもこよ)

詞書・・路通がみちのくにおもむくに。

意味・・これから奥州への旅に出て旅寝を重ねるとの事だが、
    憂いつらい旅寝をしてこそ本当に花の美しさが分る
    ものだ。旅を遊びと考えないで、真の花の美しさを
    発見して帰っておいで。

 注・・くさまくら=旅の枕詞、旅寝の意味だが、ここでは
     旅寝を重ねる生活、すなわち旅それ自体の意に用
     いている。
    まこと=真実、真理。
    華見(はなみ)=花見、花の美しさを見る。
    路通=1685年に琵琶湖で乞食の生活をしているのを
     芭蕉に見出され、蕉門俳人となった。

作者・・芭蕉=ばしょう。1644~1695。「奥の細道」。
 
出典・・茶のさうし(小学館「松尾芭蕉集」)