*************** 名歌鑑賞 ***************

 
心ありて もるとなけれど 小山田の いたづらならぬ
かかしなりけり
                  仏国法師
 
(こころありて もるとなけれど おやまだの いたずら
 ならぬ かかしなりけり)
 
意味・・山間の小さな田に、心があってその田を守って
    いるわけではない案山子であるが、決して無益
    でなく、無駄ではないのだ。
 
    案山子は蓑や笠を付け弓矢を持って、何も思わ
    ずただ立っているだけで、無駄のように見られ
    るが、それなりに鳥や獣を追い払うという役目
    を果たして いる。
 
    心はそのどこにも囚われず、無心になってい
    る案山子のようになりたいと詠んだ歌です。
    胸の中を空っぽにして執着心のない心にして
    おくことが大切である、と。
    私たちはいつも何かが心に引っ掛かっている。
    大したことではなく、他人から見れば何でもな
    いことが、その人にとっては大きく胸に残る。
    そしてそのことで苦しむことがある。
    例えば人から注意されると不愉快さが後まで残
    ることがある。    
    どんなことでも胸にとどめない、執着しないこ
    とが大切であるのだが、難しいものである。
 
 注・・いたづら=役に立たない、無益だ。
 
作者・・仏国法師=1241~1316。後嵯峨天皇の皇子。
    臨済宗の僧。
 
出典・・不動智神抄録(鎌田茂雄著「心と身体の鍛錬法」)