たまきはる 宇智の大野に 馬並めて 朝踏ますらむ 
その草深野            
                  中皇命
 
(たまきわる うちのおおのに うまなめて あさふますらん
 そのくさふかの)

意味・・今頃は、宇智の大野に馬を並べて朝の狩りをしている
    だろう。その草の生い茂った野で。
    
    この歌の前に詠まれた長歌によると、
    朝に夕に手に取って撫(な)でていた愛用の梓弓。
    その梓弓を持って狩りに出かけた。今頃は朝の狩
    りを始めているだろう、矢を放つ音が聞こえるよ
    うだ、と想像して詠んだ歌です。

 注・・たまきはる=宇智の枕詞。
    宇智=奈良県五条市。
    踏ます=獲物を追い立てる。

 作者・・中皇命=なかつすめらみこと。舒明天皇の皇女。

出典・・万葉集・4。