*************** 名歌鑑賞 ************* 


水の味 空気の味と 身にしみて われの読むもの
この人の歌
                長谷川銀作 

(みずのあじ くうきのあじと みにしみて われの
 よむもの このひとのうた)

意味・・物の味はさまざまで、歌のもつ味も同様で
    あるが、この人の歌は水や空気の味で、そ
    れを身に沁ませて読んでいる。

    水や空気の味は淡いし、人間は水や空気を
    不可欠のものとして生きている上では必要
    なものであるが、平凡といべきである。
    作者はこの淡く平凡と思われる味わいの歌
    に、永遠な最高の価値を認めているのです。
    師である牧水を心に置いた歌です。

    牧水の歌、参考です。

    「幾山川越えさりゆかば寂しさのはてなん
    国ぞけふも旅ゆく」

    (自分の心の中には深く寂しさがひそんで
    居り、その寂しさに耐え兼ねてこうして今
    日も旅を続けているが、いったいどれだけ
    多くの山や川を越えて行けばこの心にひそ
    む寂しさが影をひそめる国に出られるのだ
    ろうか)

作者・・長谷川銀作=はせがわぎんさく。1894~
    1970。東京商業卒。牧水夫人の妹と結婚。
    牧水の「創作」の編集・経営に参加する。
 
出典・・歌集「夜の庭」(東京堂出版「現代短歌鑑賞
    事典」)