**************** 名歌鑑賞 ***************

 
富士のねを 木の間木の間に かへりみて 松のかげふむ
浮き島が原                 
                    香川景樹

(ふじのねを このまこのまに かえりみて まつの
 かげふむ うきしまがはら)

意味・・富士の峰を松並木の木の間ごとに振返って
    眺めながら、木陰の道を踏んでゆくここ
    浮島が原よ。

    美しい風景の中を旅行く楽しさを感じさせる
    一首です。

 注・・浮島が原=静岡県愛鷹(あしたか)山に広がる
     東海道の名所。北に富士山を仰ぎ見ることが
     でき、南は海を見渡すという眺望のすぐれた
     所です。

作者・・香川景樹=かがわかげき。1768~ 1843。鳥取
    藩士の子。

出典・・家集「桂園一枝」(小学館「近世和歌集」)