*************** 名歌鑑賞 ***************

 
露と落ち 露と消えにし わが身かな なにはのことも
夢のまた夢                
                  豊臣秀吉
            
(つゆとおち つゆときえにし わがみかな なにわの
 ことも ゆめのまたゆめ)

意味・・露のようにこの世に身を置き、露のように
    この世から消えてしまうわが身であること
    よ。何事も、あの難波のことも、すべて夢
    の中の夢であった。

    死の近いのを感じた折に詠んだもので結果
    的には辞世の歌となっています。    

 注・・なにはのこと=難波における秀吉の事業、
     またその栄華の意と「何は(さまざま)
     のこと」を掛けています。

作者・・豊臣秀吉=とよとみひでよし。1536~1598。
    木下藤吉朗と称し織田信長に仕える。信長
    の死後明智光秀討ち天下を統一する。難波
    に大阪城を築く。

出典・・詠草(福武書店「名歌名句鑑賞辞典」)