**************** 名歌鑑賞 ***************

 
詠めこし 幾代の秋の うさならむ 我とはなしの
夕暮れの空
                 後水尾院

(ながめこし いくよのあきの うさならん われとは
 なしの ゆうぐれのそら)

意味・・どれほどの秋を繰り返し、物思いにふけって
    来た人々のつらさなのだろう。私と同じ身の
    上ではないその人々の思いのこもる夕暮れの
    空である。

    毎年繰り返す人々(民衆)の辛さとはどんな物
    なのだったのだろうか。水害や飢饉、疫病や
    思い年貢、物不足や物価の高騰・・、なのだ
    ろうか。

 注・・詠(なが)め=口ずさむ。眺め(もの思いに沈
     みながらぼんやり見やる)を掛ける。
    うさ=憂さ。つらいこと。
    我とはなし=我にして我でなきさま、自分自
     身を忘れているさま、私と同じ身の上ては
     ないさま。

作者・・後水尾院=ごみずおのいん。1596~1680。
    第108代天皇。

出典・・御着到百首(小学館「近世和歌集」)