***************** 名歌鑑賞 *****************


ふしわびぬ 霜さむき夜の 床はあれて 袖にはげしき
山おろしの風
                                              後醍醐天皇

(ふしわびぬ しもさむきよの とこはあれて そでに
 はげしき やまおろしのかぜ)

意味・・寝ようとしも寝られない。霜の降りた寒い夜の床は
    荒廃している上、その床の上にかけている衣の袖に
    吹き付ける激しい山おろしの風のなんと冷たいこと
    か。

    足利尊氏の軍に追われ、吉野に逃げて仮住居に一人
    でこもって詠んだ歌です。山から吹き降ろす風の冷
    たさ寒さはすさまじく、眠ろうにも眠れない状態で
    す。その上心を重くしているのが都を追われている
    苦悩です。

 注・・ふし=臥し。体を横たえる、寝る。
    わびぬ=途方にくれて困る。
    あれて=荒れて。建物などが荒廃する。

作者・・後醍醐天皇=ごだいごてんのう。1288~1339。第
    96代天皇。足利尊氏の反逆で吉野に逃げる。南朝
    の天皇。元弘の乱に敗れ隠岐へ配流。

出典・・新葉和歌集。