**************** 名歌鑑賞 ***************


玉まきし 垣根の真葛 霜枯れて さびしく見ゆる
冬の山里
                西行
 
(たままきし かきねのまくず しもかれて さびしく
 みゆる ふゆのやまざと)

意味・・玉のように先端を巻いて茂っていた垣根の真葛
    が、霜にあたって枯れてしまい、人目も草も枯
    れはて、まことに寂しく見える冬の山里である。

    参考歌です。

   「山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も
    かれぬと思へば」   (意味は下記参照)

 注・・真葛=「真」は美称の接頭語。「葛」は豆科の
     つる性の植物。秋の七草のひとつ。

作者・・西行=さいぎょう。1118~1190。俗名佐藤義清。
    諸国を行脚する。

出典・・山家集・515。

参考歌です。

山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も 
かれぬと思へば
                 源宗于
        
(やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめも
 くさも かれぬとおもえば)
 
意味・・山里はいつでも寂しいものだが、とりわけ冬に
    なり寂しさが増して来たことだ。春の花、秋の
    紅葉を訪れた人目も、見るもののない冬には離
    (か)れ、わずかに目を慰めてくれた草も枯れて
    しまった、と思うと。

    山里に住む人の心で、初冬の感じを詠んでいま
    す。寂しい山里に住んできて、春や秋には人目
    もあったが、その人目も冬には絶える人事の上
    での寂しさ、草も枯れてしまう自然の上での寂
    しさ、それにこれからの長いひと冬を寂しさの
    中に住むことを思う、心情での寂しさ、これら
    を重ねたものです。

 注・・人目=人の訪れ、出入り。
    かれぬ=人目も離(か)れと草木が枯れを掛けて
     いる。

作者・・源宗于=みなもとのむねゆき。~939年没。正
    四位下・右京大夫。三十六歌仙のひとり。

出典・・古今集・315、百人一首・28。