**************** 名歌鑑賞 ***************


浦近く 降り来る雪は 白浪の 末の松山
越すかとぞ見る
               藤原興風

(うらちかく ふりくるゆきは しらなみの すえの
 まつやま こすかとぞみる)

意味・・海岸の近くに降ってくる雪は、白波が、あの
    波が越える事が無いという末の松山を、越え
    たように見える。

    参考歌です。

   「君をおきて あだし心を わがもたば 末の
    松山 浪も越えなん」(古今集・詠人知らず)

    (あなたをさしおいて、他の人に心を移すよう
    な事があったならば、あの末の松山を波が越
    えるようになってしまうでしょう。そんな事
    は決してあり得ません)

 注・・末の松山=宮城県多賀城市八幡にあったと
     いう山。

作者・・藤原興風=ふじわらのきかぜ。生没年未詳。
    三十六歌仙の一人。古今集時代の歌人。
    
出典・・拾遺和歌集・239。