**************** 名歌鑑賞 ****************


起きもせず 寝もせで夜を 明かしては 春のものとて
ながめ暮らしつ
                   在原業平

(おきもせず ねもせでよるを あかしては はるの
 ものとて ながめくらしつ)

意味・・あなたの事を思い続けて、起き上がりもせず、
    眠りもしないで一晩悩み明かしては、昼は昼
    でまた、春の季節のつきものとして長雨をじ
    っと眺めて、一日中物思いをして暮らしてし
    まった。

 注・・春のもの=春の景物としての長雨。
    ながめ=「長雨」と「眺め(物思い)」を掛け
     る。

作者・・在原業平=ありわらのなりひら。825~880。
    六歌仙の一人。

出典・・古今和歌集・616、伊勢物語。