*************** 名歌鑑賞 ***************


星多み 晴れたる空は 色濃くて 吹くとしもなき
風ぞ涼しき
                藤原為子

(ほしおおみ はれたるそらは いろこくて ふく
 としもなき かぜぞすずしき)

意味・・星が沢山出ているので、晴れている空は濃紺の
    色が印象的に感じられ、吹くともなく吹く風が
    まことに涼しい。

    晴れた夜空に星が沢山光っている星空。それを
    仰いでいると微風も吹いていていっそう涼しく
    感じさせています。

 注・・晴れたる空=沢山の星の輝く大空一面という広
     がりを示している。
    吹くとしもなき=涼しさが風によるだけでなく、
     星空全体の感じさせる気分であることを表し
     ている。「し」は上接する語を強調する語。

作者・・藤原為子=ふじわらのためこ。生没年未詳。鎌
    倉中期の歌人。

出典・・ 風雅和歌集・393。