**************** 名歌鑑賞 ****************


山里に 独り眺めて 思ふかな 世に住む人の 
心強さを           
               慈円

(やまざとに ひとりながめて おもうかな よにすむ
 ひとの こころづよさを)

意味・・山里で、一人しみじみと見入って思うことだ。
    辛い世を嫌わないで住んでいる人の心強さを。

    逃げ腰ではなく頑張って明るく生きている世
    の姿を見ています。

 注・・眺めて=物思いに沈みながらぼんやり見入る。
    世=憂き世、辛い世。
    心強さ=辛い世を嫌わないで、逃れようとも
     思わない心の強さ。

作者・・慈円=じえん。1225年没、71歳。大僧正。
    新古今時代歌壇の指導者の一人。

出典・・新古今和歌集・1658。