**************** 名歌鑑賞 ****************


忘るなよ ほどは雲井に 成りぬとも 空行く月の
廻りあふまで
                  詠み人知らず

(わするるなよ ほどはくもいに なりぬとも そらゆく
 つきの めぐりあうまで)

意味・・私の事を忘れないでくれ。我々二人の間は、大空
    遥か遠くに隔たっても、空を行く月が巡るように
    また再びめぐり逢うであろうから。

    駿河守として赴任することになり、恋人と別れる
    際に贈った歌です。

 注・・ほど=程。間、間柄。
    雲井=空、遠い所。
    廻りあふ=「再会する」と「月の運行する」の意
     を掛ける。

出典・・拾遺和歌集・470。