**************** 名歌鑑賞 ***************
奥山に たぎりて落つる 滝つ瀬の 玉ちるばかり
物な思ひそ
貴船明神
物な思ひそ
貴船明神
(おくやまに たぎりておつる たきつせの たまちる
ばかり ものなおもいそ)
ばかり ものなおもいそ)
意味・・奥山で湧き返って流れ落ちるこの貴船川の激流
が玉となって散るように、そんなに魂が散り失
せるほど、物を思うのではないのだよ。
が玉となって散るように、そんなに魂が散り失
せるほど、物を思うのではないのだよ。
和泉式部が男に振られた時、貴船神社に参詣し、
みたらし川に蛍が飛んでいるのを見て詠んだ次
の歌の返歌です。
みたらし川に蛍が飛んでいるのを見て詠んだ次
の歌の返歌です。
「物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる
たまかとぞみる」 (後拾遺和歌集・1164)
たまかとぞみる」 (後拾遺和歌集・1164)
(私があまりにも物を思っているので、貴船の清
流の上を沢山飛んでいる蛍も、私の体からふらふ
ら抜け出た魂のように思われます)
流の上を沢山飛んでいる蛍も、私の体からふらふ
ら抜け出た魂のように思われます)
貴船明神は「あまり思いわずらわないで、身をい
たわりなさい」と慰めています。
たわりなさい」と慰めています。
注・・滝つ瀬=わきかえり流れる急流。
玉ちるばかり=激流のしぶきの玉が散るように。
魂が散り失せるように。
沢=水たまりの草の生えた低地をいうが、「多・
さわ(たくさん)」を掛ける。
あくがれ=憧がれ。上の空になる。
玉ちるばかり=激流のしぶきの玉が散るように。
魂が散り失せるように。
沢=水たまりの草の生えた低地をいうが、「多・
さわ(たくさん)」を掛ける。
あくがれ=憧がれ。上の空になる。
作者・・貴船明神=京都市左京区貴船町にある貴船神社の
神・祭主。
神・祭主。
出典・・後拾遺和歌集・1165。
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