*************** 名歌鑑賞 ****************


飲む湯にも 焚き火のけむり 匂ひたる 山家の冬の
夕餉なりけり
                   若山牧水

(のむゆにも たきびのけむり においたる さんがの
 ふゆの ゆうげなりけり)

意味・・山小屋の囲炉裏には、自在鍵に吊るされた大
    鉄瓶で湯が沸かされている。暖を取るために
    時々焚き火が加えられ煙が上がっている。今、
    暖かい湯を飲み夕食をしている。

    山小屋で知らない人達と囲炉裏を囲んでいる
    風景を思わせます。知らない仲でも、ランプ
    の灯のもと話がはずんで旅愁を楽しんでいる
    姿です。

作者・・若山牧水=わかやまぼくすい。1885~1928。
      早稲田大学卒。尾上柴舟に師事。旅と酒を愛
    す。

出典・・歌集「渓谷集」(大悟法利雄著「若山牧水の
    秀歌」)