**************** 名歌鑑賞 ****************


ちちのみの 父いまさずて 五十年に 妻あり子あり
その妻子あり
                  楫取魚彦

(ちちのみの ちちいまさずて いそとせに つまあり
 こあり そのつまこあり)

意味・・父がいらっしらなくなってから五十年、私
    にはご在世中にいなかった妻子ができ、子
    の妻子まで出来ました。

    父は若死にしたが、幸いに自分は妻子を持
    ち、その子も妻子を持って無事に暮らして
    いる、と感謝の気持ちを詠んでいます。

 注・・ちちのみの=「父」の枕詞。

作者・・楫取魚彦=かとりなびこ。1723~1783。
           本性伊能。千葉県楫取群佐原の人で楫取と
    称した。賀茂真淵に和歌を学ぶ。

出典・・楫取魚彦家集(窪田章一郎著和歌鑑賞辞典)。