************** 名歌鑑賞 **************


雪催ふ琴になる木となれぬ木と
                 神尾久美子

(ゆきもよう ことになるきと なれぬきと)

意味・・今にも雪が降ってきそうな寂しい林を
    歩いててる。木々が目に入る。ふと思
    う。この中には琴の材料になる木とな
    れない木があると。

    どちらの木がいいのだろう。
    利用に適しない木は伐られないので天寿
    を全うする事が出来るが、人に役立つ木
    は伐られ早く寿命が尽きる。どちらの木
    が幸せなんだろう。
    寂寥(せきりよう)感に苛(さいな)まされ
    ながら、木の運命を考えさせられる。

    うだつの上がらない私だが、何が幸いす
    るのか分からない。それでくよくよしな
    いようにしよう。

作者・・神尾久美子=かみおくみこ。1923~ 。
    京都女子高卒。野見山朱鳥(あすか)に
    師事。

出典・・メールマガジン・黛じゅん「愛の歳時記」。