**************** 名歌鑑賞 ***************


流れての 世をもたのまず 水の上の 泡に消えぬる
うき身と思へば
                  大江千里

(ながれての よをもたのまず みずのうえの あわに
 きえぬる うきみとおもえば)

詞書・・この人生、心のままにならぬ事が多いなどと
    申しあげましたところ、行き先頼もしい人が
    そのようなことはありますまい、と人が申し
    たので詠んだ歌。

意味・・長生きしてよい事があるなんて期待しません。
    流れる水の上の泡のように、はかなく消える
    つらい我が身だと思っていますので。

 注・・流れての世=「流れ」に「永らえて」が掛か
     って、永くあるべき世の意になる。
    たのむ=期待する、あてにする。

作者・・大江千里=おおえのちさと。883年頃の人。
    文章博士。

出典・・後撰和歌集・1115。