***************** 名歌鑑賞 ***************


国論の 統制されて 行くさまが 水際たてりと
語り合ふのみ
                近藤芳美

(こくろんの とうせいされて ゆくさまが みぎわ
 たてりと かたりあうのみ)

意味・・世論を統制して行く法律が、次々と公布され
    ている。民主主義が崖っぷちに立たされた思
    いであるが、どうする事も出来ず、こそこそ
    と話すだけである。

    昭和12年6月第一次近衛内閣が成立し、7月に
    は盧溝橋で日中両軍が衝突し、以後長い日中
    戦争が始まる。この当時に詠んだ歌です。

    今の私達がなかなか理解出来ない法律が次々
    と公布されている。年表によれば、国民精神
    総動員実施要綱、臨時資金調達法、輸出入品
    等臨時措置法、国家総動員法等々。
    軍国主義にまっしぐらに進んでいる時代を悲
    しんで詠んだ歌です。

 注・・国論=国家一般の議論。世論。

出典・・歌集「早春賦」(小高賢著「鑑賞現代短歌・
    近藤芳美」)。