****************** 名歌鑑賞 *****************


物草の太郎の上や揚げ雲雀
                    夏目漱石

(ものぐさの たろうのうえや あげひばり)

意味・・物臭太郎の私は、原っぱに寝転がって青い空を
    見ている。すると雲雀が楽しそうに上空に舞い
    上がっていく。幸せを感じる一時である。

    せちがらさを忘れて、こんな幸せがあれば、そ
    れだけでいい。物臭太郎になりたいものだ。

 注・・物草の太郎=「物臭の太郎の」当て字。無精な
     性質の人、めんどうがる人。
    揚げ雲雀=春の高空に垂直に舞い上がり、朗ら
     かにさえずる。

作者・・夏目漱石=なつめそうせき。1867~1916。小
            説家。

出典・・大高翔著「漱石さんの俳句」。