**************** 名歌鑑賞 ***************


寝ても見ゆ ねでも見えけり おほかたは 空蝉の世ぞ
夢にありける
                    紀友則

(ねてもみゆ ねでもみえけり おおかたは うつせみの
 よぞ ゆめにはありける)

詞書・・藤原敏行が死んだ時その家族に詠んだ歌。

意味・・亡くなられたご主人のお姿が、寝ても夢に見え、
    寝ないでも幻に浮かんでまいります。考えて見
    ると、このはかない現世は夢なんでしょう。

 注・・寝ても見ゆ=死んだ敏行が夢に見える。
    ねでも見えけり=寝ないでも幻となって見える。
    おほかた=全般に、一般に。
    空蝉の世=はかない現世。
    藤原敏行=901年没。「秋来ぬと目にはさやか
     にみえねども風の音にぞおどろかれぬる」と
     詠んだ人。

作者・・紀友則=きのとものり。生没年未詳。「古今集」
    撰者の一人。

出典・・古今和歌集・833。