**************** 名歌鑑賞 ****************


たのしみは つねに好める 焼豆腐 うまく烹たてて
食わせけるとき
                 橘曙覧

(たのしみは つねにこのめる やきどうふ うまく
 にたてて くわせけるとき)

意味・・焼き豆腐は私の好物である。今夜は妻が焼き豆腐
    を味付けして、美味しく煮込んで私に食べさせて
    くれた。うまい、こんな時は楽しい気分になり、
    幸せに感じるものだ。

    自分の好きな料理を妻が作ってくれた。当たり前
    だと思うのではなく、こんな美味い料理が食べら
    れるなんて、なんと幸せなことだろうか、と小さ
    な喜びや楽しみを発見しては、ああ生きていて良
    かったと感動しています。

 注・・烹(に)る=調味して煮る。「煮る」は炊く、沸か
     すの意。

作者・・橘曙覧=たちばなあけみ。1812~1868。早
    く父母と死別。家業を異母兄弟に譲り隠棲。
    福井藩の重臣と交流。

出典・・独楽吟。