************** 名歌鑑賞 ****************


ほのぼのと 黐の花さく 夕ぐれを おもひほのかに
ひと恋ひていむ
                 浦岡花子

(ほのぼのと もちのはなさく ゆうぐれを おもい
 ほのかに ひとこいていん)

意味・・ほのぼのと黐の花の咲いているこんなやさしい
    晩春の夕ぐれには、私は想いほのかにあの人の
    ことを恋い慕っていましょう。

    こんな時には、それがふさわしいのです。

 注・・黐=常緑高木。高さ10mにも及ぶ。晩春に黄緑色
     の小さな四弁花を咲かせる。派手な花ではない。

作者・・浦岡花子=うらおかはなこ。生没年未詳。

出典・・荻野泰茂著「新万葉愛歌鑑賞」。