**************** 名歌鑑賞 ***************


城ヶ島の さみどりの上に ふる雨の 今朝ふる雨の
しみらなるかな
                  北原白秋

(じょうがしまの さみどりのうえに ふるあめの けさ
 ふるあめの しみらなるかな)

意味・・緑に包まれて眼の前に見えている城ヶ島に、繁く
    ひまなく今朝は雨が降っている。

    北原白秋は、しんみりとした、雨の風情を味わっ
    てこの心情を「城ヶ島の雨」の詩を書いています。

    城ヶ島の雨
           作詞:北原白秋、作曲:梁田 
                                https://youtu.be/cyWTy-Y081s

     雨はふるふる 城ヶ島の磯に
     利休鼠の 雨がふる
     雨は真珠か 夜明けの霧か
     それともわたしの 忍び泣き

     舟はゆくゆく 通り矢のはなを
     濡れて帆上げた ぬしの舟
     ええ 舟は櫓(ろ)でやる
     櫓は唄でやる
     唄は船頭さんの 心意気

     雨はふるふる 日はうす曇る
     舟はゆくゆく 帆がかすむ

 注・・しみら=繁ら。繁る、多い、盛んなさま。
    利休鼠=緑色を帯びたねずみ色。抹茶色。
    通り矢=城ヶ島・向ヶ崎のすぐ先にある潮の流
     れの速い部分。今は埋め立てられて、地名と
     して残っているだけ。

作者・・北原白秋=きたはらはくしゅう。1885~1942。
     詩人。詩集「邪宗門」。

出典・・永田義直著「短歌鑑賞入門」。