*************** 名歌鑑賞 ****************

あさがほを なにはかなしと 思ひけむ 人をも花は
いかが見るらむ
                   藤原道信
              
(あさがおを なにはかなしと おもいけん ひとをも
 はなは いかがみるらん)

詞書・・女院にて槿を見給ひて。

意味・・朝顔の花を人はどうしてはかないものだと思っ
    ていたのだろうか。人間こそはかないものでは
    ないか、花はかえって人間をどのように思って
    見ていることだろうか。
 
    参考です。
    松樹千年終にこれ朽ちぬ 槿花一日おのづから
    栄をなす  (意味は下記参照)

 注・・槿=むくげ、あさがお。アオイ科の3m程の落葉
     潅木。花は朝開いて夕にはしぼんでしまう。
    かなし=哀し。せつない、気の毒だ。

作者・・藤原道信=ふじわらのみちのぶ。972~994。23
    歳。従四位上・左近中将。中古三十六歌仙の一人。
 
出典・・和漢朗詠集・294。

    参考です。
    松樹千年終にこれ朽ちぬ 槿花一日おのづから
    栄をなす    
                白楽天

    (しょうじゅせんねん ついにこれくちぬ 
     きんかいつじつ おのずから えいをなす)

意味・・松は千年の齢を保つというけれど、ついには
    朽ちてはてる時がある。あさがおの花は悲し
    花だとはいうけれども、自然彼らなりに一日
    の栄を楽しんでいる。

    他をうらやまず己の分に安んずべきことをい
    う。