*************** 名歌鑑賞 ****************


嘆けとて いまはた目白 僧園の 夕べの鐘も
鳴りいでにけむ    
                北原白秋

(なげけとて いまはためじろ そうえんの ゆうべの
 かねも なりいでにけん)

意味・・目白の教会の夕方の鐘が鳴り出したが、
    今この鐘もまた、私に嘆きなさいと言っ
    て鳴り出したのであろうか。そのように
    聞こえることだ。

    詩壇の第一人者の地位を確保して、何の
    嘆きもなかったはすであるが、人妻俊子
    との恋愛が始まり、苦渋の多いものとな
    り、後に俊子の夫から姦通罪で告訴され
    た。そして、名声は瞬時に失墜した。

    参考です。
    目白の学習院の脇の歩道にある白秋の詩
    「葉っぱっぱ」です。

    杏(あんず)の葉っぱは  杏の香(か)がする
    蜜柑(みかん)の葉っぱは  蜜柑の香がする
    それでも葉っぱは  葉っぱっぱ

    煙草(たばこ)の葉っぱも  葉っぱっぱ
    山椒(さんしょう)の葉っぱも  葉っぱっぱ
    それでも葉っぱは  葉っぱっぱ

    いばらの葉っぱにゃ  お針がついてる
    花の無い葉っぱは  花のよに咲いてる
    それでも葉っぱは  葉っぱっぱ

    緑の葉っぱも  葉っぱっぱ
    真紅(まっか)な葉っぱも  葉っぱっぱ
    それでも葉っぱは  葉っぱっぱ 

 注・・はた=また。
    目白=東京都豊島区の目白。
    僧園=教会のこと。寺院。

作者・・北原白秋=1885~1942。城ヶ島の雨、
    ペチカ、からたちの花、等を書いた詩人。

出典・・歌集「桐の花」。