**************** 名歌鑑賞 ****************


秋にまた 逢はむ逢はじも しらぬ身は こよひばかりの
月をだにみむ
                   三条院 

(あきにまた あわんあわじも しらぬみは こよい
 ばかりの つきをだにみん)

詞書・・月を御覧じてよませ給ひける。

意味・・再び秋に逢うだろうとも逢わないだろうとも
    分らない我が身は、せめて今夜限りの月だけ
    でも、心ゆくまで見よう。

    来年の秋まで生きているかどうか分からない
    無常の世の嘆きだが、だからこそ今を力一杯
    生きていきたい、ということです。

  注・・こよひばかり=陰暦八月十五夜の月を確かに
     見られるのは今年だけ、との心。

作者・・三条院=さんじょういん。976~1017。42歳。
    第67代天皇。

出典・・詞花和歌集・97。