*************** 名歌鑑賞 ****************


咳をしても一人    
                尾崎放栽
(せきをしても ひとり)

意味・・この庵に吹きつける冬の北風は想像以上に
    寒く、病気で衰弱した身体にはことさらに
    こたえる。今も激しい咳の発作に襲われて
    苦しんだが、咳をしてもここには看病して
    くれる人もいない。改めて全く一人である
    ことを痛感させられたことだ。
 
    孤独と言う事を、言うべき事のみ言った短
    律句で、死ぬ数ヶ月前に詠まれています。
    咳をした後の余韻がいつまでも残ります。

作者・・尾崎放栽=おざきほうさい。1885~1926。
    東大法学部卒。喉頭結核で死去。

出典・・句集「大空」(尾形仂篇「俳句の解釈と鑑賞
    辞典)