*************** 名歌鑑賞 ****************


むかしたれ かかる狂歌の たねをまきて よしのの花も
らりになしけん
                    四方赤良

(むかしたれ かかるきょうかの たねをまきて よしのの
 はなも らりになしけん)

意味・・いったい昔、誰が狂歌の種などを蒔いてこんなに
    狂歌をはやらせ、吉野の花をもその題材にして、
    乱暴な詠みぶりで、目茶目茶にしてしまったのか。

    本歌、参考です。

   「昔たれ かかる桜の たねをうえて よしのを春    
    の 山となしけむ」          (意味は下記参照)

 注・・らり=乱離骨灰(らりこつばい)の略。目茶目茶に
     なること。

作者・・四方赤良=よものあから。1749~1823。支配勘
    定となった幕臣。江戸時代の狂歌師。

出典・・狂歌集「後万載」(小学館「日本古典文学・狂歌」)

本歌です。
 
昔たれ かかる桜の 花を植えて 吉野を春の
山となしけん
                藤原良経
 
(むかしたれ かかるさくらの はなをうえて よしのを
 はるの やまとなしけん)

意味・・桜といえば吉野というように、吉野は桜で有名な
    山になっているが、昔々この桜を植えて有名にし
    たのは一体誰なのだろうか。

作者・・藤原良経=ふじわらのよしつね。1169~1206。従
    一位太政大臣。新古今集の仮名序作者。

出典・・新勅撰和歌集・58。