*************** 名歌鑑賞 ****************


ながめこし 花より雪の ひととせも けふにはつ瀬の
いりあひの鐘
                  頓阿法師
              
(ながめこし はなよりゆきの ひととせも きょうに
 はつせの いりあいのかね)

意味・・春の花から冬の雪まで、ずっと眺めてきた
    この一年も、今日で終わったと初瀬の入相
    の鐘が響いている。

 注・・初瀬=奈良県桜井市初瀬。長谷寺がある。
    いりあひ=入相。夕暮れ。

作者・・頓阿法師=とんあほうし。1289~1372。
    俗名は二階堂貞宗。和歌の四天王。

出典・・頓阿法師詠(岩波書店「中世和歌集・室町篇」)