*************** 名歌鑑賞 ****************

髪あげて 挿さむと云ひし 白ばらも のこらずちりぬ 
病める枕に
                  山川登美子
             
(かみあげて ささんといいし しろばらも のこらず
 ちりぬ やめるまくらに)

意味・・髪を結って挿しましょう、と言った、あの白ばらの
    花もみんな散ってしまった。病んでいる私の枕許で。

    病気中の枕許にきれいに活けられてあった白ばらの
    花を、やがて病が治ったら結い上げた髪に挿そうと
    思っていた。ところがいつのまにか花は散ってしま
    った。
   「白ばら」に希望を託していたのだが、それは叶わぬ
    状態にあることを歌っています。

 注・・髪あげて=髪を結って。

作者・・山川登美子=やまかわとみこ。1879~1909。31歳。
    与謝野昌子・増田雅子・山川登美子の共著の歌集「
    恋ごろも」を出版。

出典・・歌集「恋衣」。