************** 名歌鑑賞 **************

いにしへの 古き堤は 年深み 池の渚に
水草生ひにけり    
               山部赤人

(いにしえの ふるきつつみは としふかみ いけの
 なぎさに みくさおいにけり)

詞書・・故太政大臣藤原家の築山のある池を
    詠んだ歌。

意味・・ずっと昔から見慣れた池の堤ではあるが、
    主もなく年月を経て、渚にはびっしり水
    草が生えてしまったものだ。

    時の経過をまざまざと見せる旧庭の荒廃
    を述べて鎮魂の意を込めて詠んだ歌です。

 注・・年深み=年月を経る。「池」の縁で「深
     み」と詠んだもの。

作者・・山部赤人=やまべのあかひと。生没年未詳。
    奈良時代の初期の宮廷歌人。

出典・・万葉集・378。