*************** 名歌鑑賞 ****************


塩之入の 坂は名のみに なりにけり 行く人しぬべ
よろづ世までに         
                  良寛

(しおのりの さかはなのみに なりにけり ゆくひと
 しぬべ よろづよまで)

意味・・塩之入峠が険しいというのは、うわさだけに
    なったものだ。その坂道を行く人は、通りや
    すいように作り直してくれた方のことを、い
    つまでも有難く思い顧みなさい。

      塩乃入の坂は、まことに恐ろしい坂で、上を
    見ると目もとどかず、下を見ると肝が縮こま
    るような坂なので、千里を行く馬も進みかね
    たという坂道。このような危しい道を歩きや
    すい道に作り変えた先任者に感謝の気持ちを
    詠んでいます。

 注・・塩之入(しおのり)の坂=新潟県与板町と和島
     村の境にある峠。「親知らず子知らず」の
     絶壁を思わせる険しい坂道であった。
    しぬべ=偲べ。「しのべ」と同じ。思いしたう。

作者・・良寛=1758~1831。

出典・・谷川敏郎著「良寛全歌集・1066」。