名歌名句鑑賞

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2007年06月

6/1 更けにけり山の端近く月冴えて十市の里に
   衣打つ声           藤原敏行
6/2 わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ
   海人の釣舟          小野たかむら 
6/3 明けばまた越ゆべき山の峰なれや空行く月の
   末の白雲           藤原家隆   
6/4 梅が枝に来いる鶯春かけて鳴けどいまだ
   雪は降りつつ         詠人知らず
6/5 ちはやぶる神代も聞かず龍田川唐紅に
   水くくるとは         在原業平 
6/6 うぐいすの身をさかさまに初音かな 其角
6/6 鐘ひとつ売れぬ日はなし江戸の春  其角
6/7 大和には群山あれどとりよろふ天の香具山登り立ち
  国見をすれば国原は煙立ち立つ  舒明天皇
6/8 東風ふかば匂いおこせよ梅の花あるじなしとて
   春を忘るな          菅原道真 
6/9 なのはなや昼一しきり海の色    蕪村
6/9 菜の花や鯨もよらず海くれぬ    蕪村
6/9 菜の花や月は東に日は西に     蕪村
6/10 東の野にかぎろひ立つ見えてかえり見すれば
   月傾きぬ           柿本人麻呂
6/11 さつき待つ花橘の香をかげば昔の人の
   袖の香ぞする         読人知らず
6/12 わくらばに問う人あらば須磨の浦にもしほたれつつ
   わぶと答えよ         在原行平
6/13 山里の春の夕暮れ来てみれば入相の鐘に
   花ぞ散りける         能因法師
6/14 山里は秋こそことにわびしけれ鹿の鳴く音に
   目をさましつつ        壬生忠岑
6/15 山里は冬ぞさみしさまさりけり人目も草も
   かれぬと思へば        源宗干

6/16 畑打ちや子が這い歩くつくし原     小林一茶
6/17 ささなみの志賀の大わだ淀むとも昔の人にまた
    逢わめやも              柿本人麻呂
6/18 人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に
    にほひける              紀貫之
6/18 花だにも同じ心に咲くものを植えたる人の心しらなむ
6/19 冬の夜や針うしなうておそろしき     梅室
6/20 滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れて
    なほ聞こえけれ            藤原公任
6/21 嵐吹く三室の山のもみじ葉は滝田の川の
    錦なりけり              能因法師
6/21 滝田川もみじ葉流れる神なびの三室の山にしぐれ降るらし
6/22 後供は霞引きけり加賀の守         小林一茶
6/23 花の木はいまは掘り植えじ春はてば移ろう人に
    人ならひけり             素性法師
6/24 面白きこともなき世を面白くすみなすものは心なりけり
                       高杉晋作
6/25 ながらえばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ
    今は恋しき              藤原清輔
6/26 目には青葉山ほとどぎすはつかつお     山口素堂
6/27 音に聞く高師の浜のあだ波はかけじゃ袖の
    濡れもこそすれ            紀伊
6/28 めせやめせゆふげの妻木はやくめせ帰るさ遠し大原の里
                        香川景樹
6/29 よき人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よ
    よき人よく見             天武天皇
6/30 深川や蠣殻山の秋の月           小林一茶
 

深川や 蠣殻山の 秋の月   小林一茶

(ふかがわや かきがらやまの あきのつき)

意味・・昔、深川には蛤町という町名が残っていたように、
    場末(ばすえ)の海に近いあたりは、海苔や貝など
    をとって生計を立てているさびれた漁師町であった。
    海苔粗朶(のりそだ)の廃物を垣にした家に住んで、
    牡蠣(かき)をむいて暮らす人たち。その生業(なり
    わい)が築いた貝殻の山にしろじろと照る秋の月。
    荒涼たる場末の町の風景を描いて、しみじみとした
    哀歓をただよわせています。

 注・・蠣殻山=牡蠣をむき取った後の貝殻の山。

よき人の よしとよく見て よしと言ひし 吉野よく見よ
よき人よく見              
                    天武天皇

(よきひとの よしとよくみて よしといいし よしの
 よくみよ よきひとよくみ)

意味・・昔のよい人が、よい所だといってよく見て、
    よいと言った吉野をよく見てみなさい。
    今のよい人もよく見てみなさい。

    同音を繰り返したユーモラスな歌です。

作者・・天武天皇=てんむてんのう。~686。天智天皇
     の子大友皇子と対立して壬申の乱が起きる。
     これに勝利して律令体制を強化。

出典・・万葉集27。

めせやめせ ゆふげの妻木 はやくめせ 帰るさ遠し 
大原の里
             香川景樹(かがわかげき)
             (桂園一枝) 
(めせやめせ ゆうげのつまぎ はやくめせ かえるさ
 とおし おおはらのさと)

意味・・さあ、お買い下さい、お買い下さい。夕飯を炊く
    薪をはやくお買い下さい。私の帰って行く所は
    道遠い大原の里です。

    洛北(京都の北)から妻木を売りに来る大原女
    は古くから有名です。

 注・・妻木=つまき、薪のこと。

作者・・香川影樹=1768~1843。小沢蘆庵と親しく、又
     賀茂真淵と歌論で対立。「桂園一枝」。

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