名歌名句鑑賞

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2007年06月

音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじゃ袖の
 濡れもこそすれ
             紀伊
    
(おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじゃ
 そでの ぬれもこそすれ)

意味・・噂に名高い高師の浜の立ち騒ぐ波も、かけない
    ことには袖が濡れことは無いのだから。

    浮気者と評判の高いあなたのきまぐれな言葉も、
    心にかけない事にしょう。
    すぐに飽きられて涙で袖が濡れるといけないから。

 注・・音に聞く=噂に聞く。評判になる。
    高師の浜=大阪府堺市の一帯の浜。評判が「高い」
       を掛けている。
    あだ波=騒ぎ立つ波、浮気な人の言葉。
    濡れもこそすれ=濡れるとたいへんだから。「もこそ」
     は予想される悪い事態に対する懸念・不安の気持ち
     を表す。

作者・・紀伊=11世紀後半の人。後朱雀天皇の第一皇女
     祐子内親王に仕える。

出典・・金葉和歌集・469、百人一首・72

目には青葉 山ほとどぎす はつ鰹
    
                        山口素堂

(めにはあおば やまほとどきす はつがつお)

意味・・目には青葉がさわやかに、耳には山ほとどぎす
    の鳴く声が聞こえ、口には初がつおの味覚が
    初夏の到来を告げている。

    かつおが名産である鎌倉の地の初夏を詠んだ
    句です。

作者・・山口素堂=やまぐちそどう。1642~1716。

出典・・江戸新道。
    

ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しとみし世ぞ
今は恋しき                  
         藤原清輔(ふじわらのきよすけ)
         (新古今集・1843、百人一首・84)

(ながらえば またこのごろや しのばれん うしとみし
 よぞ いまはこいしき)

意味・・この先、生きながらえるならば、つらいと感じている
    この頃もまた、懐かしく思い出されることだろうか。
    つらいと思って過ごした昔の日々も、今では恋しく
    思われることだから。

    今の苦悩をどうしたらよいものか・・

 注・・憂し=つらい、憂鬱。

作者・・藤原清輔=1104~1177。当時の歌壇の第一人者。

面白き こともなき世を 面白く      高杉晋作
すみなすものは 心なりけり        野村望東尼

(おもしろき こともなきよを おもしろく すみなす
 ものはこころなりけり)

 注・・すみ=住み、棲み

意味・・面白いことの少ない世の中だか、心の持ち方
    次第で、世の中は面白くにもなればつまらなく
    にもなるものだ。

    自分を取り巻く面白くない壁や厚い雲を突き破る、
    その勇気や励ましを得るのは「面白くしよう」
    という心の持ち方が大切だということです。

    この歌は高杉晋作の辞世(じせい・死ぬまぎわ)
    の歌です。上の句を詠んで力がつきたので、下の
    句を野村望東尼が詠んだものです。

花の木も いまは掘り植えじ 春たてば 移ろう色に
人ならひけり              素性法師

(はなのきも いまはほりうえじ はるたてば うつろう
 いろにひとならいけり)

意味・・たとえ花の咲く木だからといって、もう今後は
    掘って来て植えない事にしょう。
    なぜかというと、春になれば花は咲いたあとで
    必ず色あせるのだから、人がそれをまねて人心
    軽薄になるに決まっているのだから。

    冬から春になると、張切っていた気持が一瞬
    弛み、その反動で気がふさがるような状態を
    警戒した歌です。
    春とは大学合格など。

作者・・素性法師=生没年未詳。760年頃左近将監。

出典・・古今和歌集・92
    

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