名歌名句鑑賞

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2007年08月

よそにのみ 見てややみなむ 葛城や 高間の山の 
峰の白雲              読人知らず

(よそにのみ みてややみなん かつらぎや たかまのやまの
 みねのしらくも)

意味・・自分とは関係のないものとして、遠くから見るだけに
    終わってしまうのだろうか。葛城の高間の山の峰の
    白雲よ(その雲のようなあの人を)。

    心を引かれながら手の届かない高貴な女性に思いを
    はせた歌です。「高間の山の峰の白雲」は崇高な
    美しい女性を象徴しています。

 注・・よそに=親密でない人。他人。
    やみ=止み、お終いになる。
    葛城や高間の山=大阪府と奈良県の境にある連山。
       高間山はその最高峰、金剛山の別称。
出典・・新古今和歌集・990。

青梅に 眉あつめたる 美人かな    蕪村

(あおうめに まゆあつめたる 美人かな)

意味・・見るからに酸っぱい青梅に眉を寄せる佳人。
    それがまた何ともいえない美しいしぐさだなあ。

あおによし 奈良の都は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり
                          小野老

(あおによし ならのみやこは さくはなの におうがごとく
 いまさかりなり)

意味・・奈良の都は、咲いている花が色美しく映えるように、
    今や真っ盛りである。

    華やかな都を賛美した歌です。

 注・・あおによし=奈良に掛る枕詞。
    薫ふ(にほふ)=色が美しく照り映える。

花の木に あらざれめど 咲にけり ふりにし木の実 
なる時もがな              文屋康秀

(はなのきに あらざれめど さきにけり ふりにしこのみ
 なるときもがな)

意味・・花咲く木でもなさそうなのに、これは見事に咲いて
    います。それなら、ついでに古ぼけた木にも果実が
    実る時もほしいものです。
    花の咲くはずがない木に花が咲きました。それならば
    古くなったこの身にも花を咲かせて出世させてほしい
    ものです。

    宮中の渡り廊下に、木で作った造花を飾っているのを
    見て詠んだ歌です。わが身の不遇を訴えています。

 注・・花の木にあらざる=削り花、木を削って作った花のこと。
    めど=「けれども」と「馬道(めどう・めど)」を掛ける。
       馬道は建物と建物の間に厚板で囲った廊下。
    木の実=「この身」を掛ける。
    ふりにし=古にし、年を経るを掛ける。

出典・・古今和歌集・445。

ひともとと 思ひし菊を 大沢の 池のそこにも 誰か植えけむ
                         紀友則

(ひともとと おもいしきくを おおさわの いけのそこにも
 たれかうえけん)

意味・・菊の花はいけのほとりに一株あるだけと思ったのに、
    大沢の池の底にもう一つあるのは、誰が植えたので
    あろうか。

    水に映った花があまりにも美しいので、水面に映った
    菊を誰が植えたのだろうかと表現したものです。

 注・・ひともと=一本。
    大沢=京都右京区嵯峨にある池。
    池のそこ=池の底、水面に美しく映った菊を池の底に
      あるとみたもの。

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