名歌名句鑑賞

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2008年06月

水の面に あや織りみだる 春の雨   良寛(りょうかん)

(みずのもに あやおりみだる はるのあめ)

意味・・やわらかな春の雨が池の面に降りかかって
    いる。そのたびに、いろいろな波の模様が
    出来上がり、また雨の雫がその模様をかき
    乱していくさまは、見ていて飽きることな
    く面白いものだ。

    良寛は、変化して止まない水の面に、禍福
    のように変化し続ける人の世を重ねている。

 注・・あや=いろいろな模様。

花散りし 庭の木の葉も 茂りあひて 天照る月の 
影ぞまれなる         曾禰好忠(そねのよしただ)

(はなちりし にわのこのはも しげりあいて あまてる
 つきの かげぞまれなる)

意味・・花の散った庭の桜の木の葉も、今はもう
    茂りあって、空に照る月の光がわずかに
    しかささないことだ。

 注・・花=桜の花。
    まれ=稀、たまにしかないさま。

われを思ふ 人を思はぬ むくいにや わが思ふ人の 
我を思はぬ              読人知らず 

(われをおもう ひとをおもわぬ むくいにや わがおもう
 ひとの われをおもわぬ)

意味・・私を愛してくれる人を愛さなかった報いが
    来たのかな。今、私が愛している人が私を
    愛してくれないのは。

    人からつれなくされて、過去の自分の行為
    を反省した歌です。

神垣の 御室の山の 榊葉は 神のみ前に 茂り合いにけり
                      読人知らず

(かみがきの みむろのやまの さかきばは かみのみまえに
 しげりあいにけり)

意味・・神垣に取り囲まれた神殿のある山の榊葉は
    神聖な神様をたたえるように、一面に青々
    と茂っていることだ。

 注・・神垣(かみがき)=神社の周囲にめぐらした垣。
    御室=貴人の住居の敬称、神社。
    み前=御前、神や貴人の前の敬称。

郭公 花橘は にほふとも 身をうの花の 垣根忘れな
                    西行(さいぎょう)

(ほとどぎす はなたちばなは におうとも みをうのはなの
 かきねわすれな)

意味・・ほとどぎすよ、花橘は香り高く匂うとも、
    お前がもう宿らなくなるので、身をさび
    しく思っている卯の花の垣根のことも忘
    れないで欲しい。

    ほとどぎすは陰暦四月は卯の花に、五月
    花橘に宿るとされた。

 注・・う=「卯」と「憂」の掛詞。

このページのトップヘ