名歌名句鑑賞

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2009年02月

物皆は 新たしきよし ただしくも 人は古りにし 
よしかるべし      柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)

(ものみなは あらたしきよし ただしくも ひとは
 ふりにし よろしかるべし)

意味・・もちろん物はみんな新しい方が良いに決まって
    いる。とは言うものの、人には古びれば古びた
    なりのよさがあるように思われる。

    空威張りをして老いを嘆いた歌です。

 注・・ただしくも=但し。

飛騨人の 真木流すといふ 丹生の川 言は通へど
舟ぞ通はぬ             読人知らず

(ひだひとの まきながすという にうのかわ 
ことはかよえど ふねぞかよわぬ)

意味・・飛騨の国の人が真木を伐って流すという丹生の
    川は、噂だけは聞こえて来るが舟は通わない。

    美人が居るというけれどその人に逢えない、と
    いうたとえの歌です。

 注・・飛騨人=岐阜県飛騨の地方人、匠が多い。
    真木=建築用になる檜や杉の木。
    丹生川=岐阜県大野郡丹生川村を流れる川。
    舟ぞ通はぬ=直接には逢えない、の意を含める。

山里は 雪降り積りて 道もなし 今日来む人を
あはれとは見む        
             平兼盛(たいらのかねもり)
             (拾遺和歌集・251)
(やまざとは ゆきふりつもりて みちもなし きょう
 こんひとを あわれとはみん)

意味・・山里は雪が降り積もって道も絶えてしまった。
    もし今日、私の所に訪ねてくれる人があったら、
    その人の事をいとおしいと思うだろう。

    雪が激しく降ったので道も全くない。こんな時
    にでも、相談なりにやって来る人は我が心に通
    う人だ、という気持です。    

 注・・あはれ=いとしいさま、愛着を感じるさま。

作者・・平兼盛=生年未詳~990。従五位下・駿河守。
     三十六歌仙の一人。「兼盛集」。

年のはに かくも見てしか み吉野の 清き河内の
たぎつ白波        笠金村(かさのかねむら)

(としのはに かくもみてしか みよしのの きよき
 かわちの たぎつしらなみ)

意味・・毎年毎年こうして見たいものだ。ここ吉野の
    清らかな河内の渦巻き流れる白波を。

    吉野川の爽快な白波を詠み離宮を讃えた歌です。

 注・・年のは=毎年。
    河内=川の周辺に開けた生活圏。

出典・・万葉集・908。

月雪は いつはあれども ぬば玉の 今日の今宵に
なをしかずけり          良寛(りょうかん)

(つきゆきは いつはあれども ぬばたまの けふの
 こよいに なおしかずけり)

意味・・月や雪はいつ見ても素晴しいが、今日という
    今日の今夜以上の素晴しい月や雪はない事だ。

    師の徳昌寺住職の慶事をたたえて詠んだ歌です。

 注・・いつはあれども=いつでもそうだが、特に。
    ぬば玉の=「今宵」の枕詞。
    

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