名歌名句鑑賞

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2009年04月

ひととせに ふたたびこぬ 春なれば いとなくけふは
花をこそ見れ       平兼盛(たいらのかねもり)

(ひととせに ふたたびこぬ はるなれば いとなく
 けふは はなをこそみれ)

意味・・一年に二度とは来ない春なので、他に何かを
    するということもせず、今日はひたすら花見
    をすることだ。

    一年に二度とは春が来ないので、なにはさて
    おき、花見に専念したいという気持ちを読む。

 注・・いとなく=暇なく。暇がなく、いそがしく、
      ほかに何をする暇もなく。

作者・・平兼盛=~990、36歌仙の一人。

ほとどぎす われは待たでぞ こころみる 思ふことのみ
たがふ身なれば       慶範法師(けいはんほうし)

(ほとどぎす われはまたでぞ こころみる おもうこと
 のみ たがうみなれば)

意味・・思うことが万事反する身だから、(待つ時は
    さだめし鳴くまい)ほとどぎすよ。私は期待
    しないで鳴くかどうかためしてみよう。(待
    たないでいたら、ひよっとして鳴くかもしれ
    ないから)

 注・・待たでぞこころみる=鳴くのを期待しないで
      鳴くかどうか試(ため)してみよう。

作者・・慶範法師。生没年未詳。中村致行(むねゆき)、
    叡山に登って出家した。
      

梅が香を さくらの花に 匂はせて 柳の枝に
咲かせてしがな       中原致時(なかはらのむねとき)

(うめがかを さくらのはなに におわせて やなぎのえだに
 さかせてしがな)

意味・・梅のよい香りを美しい桜の花に匂わせて、
    しなやかな柳の枝に咲かせたいものだ。

    梅・桜・柳、お互いのある物とない物とを
    からませて理想の姿に造型しょうとしたも
    の。さしずめ、よい匂いのする枝垂桜とい
    うところです。

 注・・しがな=願望を示す助詞。・・したいなあ。

 作者・・中原致時=生没年未詳。

逢坂の 関をや春も こえつらん 音羽の山の
けさはかすめる       橘俊綱(たちばなのとしつな)

(おうさかの せきをやはるも こえつらん おとばのやまの
 けさはかすめる)

意味・・人は逢坂の関を越えて都に入るものだが、
    春も逢坂の関を越えてきたのであろうか。
    今朝はもう音羽の山に春霞がたなびいて
    いることだ。

 注・・逢坂の関=京都府と滋賀県の逢坂山にあ
      った古関。646年に置かれ795
      年に廃止された。
    音羽の山=京都府山科区音羽町にある山。
       

浅茅生の 小野の篠原 しのぶとも 人知るらめや
いふ人なしに           読人知らず

(あさじうの おののしのはら しのぶとも ひとしるらめや
 いうひとなしに)

意味・・私がこんなに激しく恋慕っていようとは、
    あの方は知っているだろうか。何せ誰も
    伝える者がいないのだから。

 注・・浅茅生=短い茅の生えている所。「野」
       の枕詞。
    小野=野と同じ。
    篠原=篠(群生する細い竹)の生えている
       原。この句までが「しのぶ」にか
       かる序詞。
    しのぶ=我慢する、思い慕う。
    いふ人=自分の心を先方に伝えてくれる
       人。

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