昔見し 妹がかきねは 荒れにけり つばなまじりの
菫のみして
吉田兼好(よしだけんこう)
(徒然草・26)
(むかしみし いもがかきねは あれにけり つばな
まじりの すみれのみして)
意味・・以前の愛人の門に来て見たが垣根の面目は
一変し、荒涼として茅花の茂る間に可憐な
菫の花が少しばかり見えているばかりであ
った。あの人の心のうちは、いま果たして
どんなであろうか。
哀れをさそう風情を詠んでいます。
徒然草26段です。
風に吹かれるまでもなく変りうつろうのが
人の心であるから、親睦した当時を思い出
してみると、身に沁みて聞いた一言一句も
忘れもせぬのに、自分の生活にかかわりも
ない人のようになってしまう恋の一般性を
考えると、死別にもまさる悲しみである。
それゆえ、白い糸が染められるのを見て悲
しみ、道の小路が分かれるのを嘆く人もあ
っのではあろう。
注・・つばな=茅花。ちがやの花、ちがや。
作者・・吉田兼好=1283頃の生まれ。70歳。和歌四
天王。「徒然草」。
菫のみして
吉田兼好(よしだけんこう)
(徒然草・26)
(むかしみし いもがかきねは あれにけり つばな
まじりの すみれのみして)
意味・・以前の愛人の門に来て見たが垣根の面目は
一変し、荒涼として茅花の茂る間に可憐な
菫の花が少しばかり見えているばかりであ
った。あの人の心のうちは、いま果たして
どんなであろうか。
哀れをさそう風情を詠んでいます。
徒然草26段です。
風に吹かれるまでもなく変りうつろうのが
人の心であるから、親睦した当時を思い出
してみると、身に沁みて聞いた一言一句も
忘れもせぬのに、自分の生活にかかわりも
ない人のようになってしまう恋の一般性を
考えると、死別にもまさる悲しみである。
それゆえ、白い糸が染められるのを見て悲
しみ、道の小路が分かれるのを嘆く人もあ
っのではあろう。
注・・つばな=茅花。ちがやの花、ちがや。
作者・・吉田兼好=1283頃の生まれ。70歳。和歌四
天王。「徒然草」。