名歌名句鑑賞

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2012年02月

百千鳥 さえづる空は 変らねど 我が身の春は
改まりつつ
                後鳥羽院(ごとばいん)
                (遠島御百首・4)
(ももちどり さえずるそらは かわらねど わがみの
 はるは あらたまりつつ)

意味・・いろいろな小鳥がさえずる空はなんの変わりも
    ないが、我が身に訪れる春は、今までと大きく
    相違してしまった・・・。

    隠岐に流されて詠んだ歌です。

 注・・改まりつつ=新しく変わっている。

作者・・後鳥羽院=1180~1239。第82代天皇。承久の乱
     (1221)によって隠岐に流される。「新古今和
     歌集」の撰集を命じる。

春はただ わが宿にのみ 梅咲かば かれにし人も
見にぞ来なまし
              和泉式部(いずみのしきぶ)
              (後拾遺和歌集・57)
(はるはただ わがやどにのみ うめさかば かれにし
 ひとも みにぞきなまし)

意味・・春という季節は、ただもう私の住まいだけに
    梅が咲いたなら、音信が絶えてしまったあの
    人も梅見にと訪ねてくれるであろうに・・・。

 注・・かれにし人=疎くなった人。「かれ」は「離れ」。
    まし=反実仮想を表す。もし・・だったら・・ 
     だろう。

作者・・和泉式部=978頃の生まれ。「和泉式部日記」。

みづがきの ひさしき世より ゆふだすき かけし心は
神ぞ知るらん
             源実朝(みなもとのさねとも)
             (金槐和歌集・649)
(みずがきの ひさしきよより ゆうだすき かけし
 こころは かみぞしるらん)

意味・・久しい昔から努力して来た私の心は、神様が
    必ず御覧になっていることだろう。

 注・・みづがきの=瑞垣の。「ひさ(久)しい」の枕詞。
     「瑞垣(みづがき)」は神社の垣の美称。
    ゆふだすき=木綿で作ったたすきのことだが、
     それを掛けるところから、「かく」の枕詞。

作者・・源実朝=1192~1219。28歳。鶴岡八幡宮で甥
     の公卿に暗殺される。

世の中は 七たび変へん ぬば玉の 墨絵に描ける
小野の白鷺
               良寛(りょうかん)
               (良寛全歌集・497)
(よのなかは ななたびかえん ぬばたまの すみえに
 かける おののしらさぎ)

意味・・世の中に対する態度・心の持ち方を七度変えて
    みよう。墨で雪野の白鷺を描く事が出来るよう
    に、不可能に見えたものも、可能になるものだ。

 注・・ぬば玉の=「墨」の枕詞。
    小野=野原。ここでは白い雪のある野原の意。
    墨絵に描く白鷺=技術の上達によって不可能も
     可能になる事の意。

作者・・良寛=1758~1831。

雪の朝 二の字二の字の 下駄のあと
                    田捨女(でんすてじょ)
                    (続近世奇人伝)
(ゆきのあさ にのじにのじの げたのあと)

意味・・一面に真っ白な雪の朝、きれいな雪の上に二の字
    二の字の下駄の足跡がついている。

    この句は6歳の時に作って人を驚かせたと言い伝え
    られています。

作者・・田捨女=1634~1698。

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