おほけなく 憂き世の民に おほふかな わが立つ杣に
墨染めの袖
大僧正慈円
(千載和歌集・1137、百人一首・95)
(おおけなく うきよのたみに おおうかな わがたつ
そまに すみぞめのそで)
意味・・私が言うのもおこがましいが、昔、伝教大師が
開いたこの比叡山に立つからには、つらいこの
世に住んでいる人々の心をやわらげるためにも、
この黒染めの袖で世の中を覆いつくすような気
持ちでなければいけないのだ。
注・・おほけなく=見分不相応だ、恐れ多い。
憂き世の民=辛い事の多いこの世の人々。悪疫
の流行、飢饉、戦乱といった過酷な現実に生
き抜いている人々。
杣=植林した材木を切り出す山。ここでは延暦
寺のある比叡山のこと。伝教大師最澄が建立。
墨染の袖=黒い僧衣。「住み初め」を掛ける。
作者・・大僧正慈円=だいそうじょうじえん。1155~
1225。関白藤原忠通の子。14歳で出家。天台
座主、大僧正。歴史書「愚管抄」。
墨染めの袖
大僧正慈円
(千載和歌集・1137、百人一首・95)
(おおけなく うきよのたみに おおうかな わがたつ
そまに すみぞめのそで)
意味・・私が言うのもおこがましいが、昔、伝教大師が
開いたこの比叡山に立つからには、つらいこの
世に住んでいる人々の心をやわらげるためにも、
この黒染めの袖で世の中を覆いつくすような気
持ちでなければいけないのだ。
注・・おほけなく=見分不相応だ、恐れ多い。
憂き世の民=辛い事の多いこの世の人々。悪疫
の流行、飢饉、戦乱といった過酷な現実に生
き抜いている人々。
杣=植林した材木を切り出す山。ここでは延暦
寺のある比叡山のこと。伝教大師最澄が建立。
墨染の袖=黒い僧衣。「住み初め」を掛ける。
作者・・大僧正慈円=だいそうじょうじえん。1155~
1225。関白藤原忠通の子。14歳で出家。天台
座主、大僧正。歴史書「愚管抄」。