*************** 名歌鑑賞 ****************
駆けあがり 庭のかたへに 踏み脱ぎし 小木履見れば
涙し流る
大倉鷲夫
(かけあがり にわのかたえに ふみぬぎし こぼくり
みれば なみだしながる)
意味・・部屋に駆け上がる時、庭の端へ脱ぎ飛ばした
小さなあの子の木履を見ると涙がこぼれる。
詞書は「二男大蔵病死の時作歌」です。死ん
だ男の子は四歳だったと伝えられている。小
さな男の子だから、庭から部屋に上がるのに
履物をそろえてなどは脱がない。駆け上がる
勢いで脱ぎ散らかしたのがそのままになって
いるのである。元気よく駆け上がっていたの
に、急病でそのまま寝つき死んでしまった。
亡くなった後で庭の木履を見て、元気の良か
った時の子を思いださせて、涙がこぼれるの
であった。
注・・木履(ぼくり)=木製のくつ。下駄。
涙し=「し」は上接する語を強調する語。
作者・・大倉鷲夫=おおくらわしお。1780~1850。
高知の商家の生まれ。
出典・・藤平春男編「和歌鑑賞辞典」。
駆けあがり 庭のかたへに 踏み脱ぎし 小木履見れば
涙し流る
大倉鷲夫
(かけあがり にわのかたえに ふみぬぎし こぼくり
みれば なみだしながる)
意味・・部屋に駆け上がる時、庭の端へ脱ぎ飛ばした
小さなあの子の木履を見ると涙がこぼれる。
詞書は「二男大蔵病死の時作歌」です。死ん
だ男の子は四歳だったと伝えられている。小
さな男の子だから、庭から部屋に上がるのに
履物をそろえてなどは脱がない。駆け上がる
勢いで脱ぎ散らかしたのがそのままになって
いるのである。元気よく駆け上がっていたの
に、急病でそのまま寝つき死んでしまった。
亡くなった後で庭の木履を見て、元気の良か
った時の子を思いださせて、涙がこぼれるの
であった。
注・・木履(ぼくり)=木製のくつ。下駄。
涙し=「し」は上接する語を強調する語。
作者・・大倉鷲夫=おおくらわしお。1780~1850。
高知の商家の生まれ。
出典・・藤平春男編「和歌鑑賞辞典」。