名歌名句鑑賞

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2016年02月


*************** 名歌鑑賞 **************


老いぬとて 松は緑ぞ まさりける わが黒髪の
雪の寒さに
                 菅原道真
             
(おいぬとて まつはみどりぞ まさりける わが
 くろかみの ゆきのさむさに)

意味・・老いてしまってでも松はますます緑を深く
    していることだ。私は、自分の黒髪が雪の
    ように白くなって、寒々とした思いでいる
    のに。

 注・・わが黒髪の雪の寒さに=自分の黒髪が、嘆
     きの為に雪のように白髪に変り、寒々と
     した思いでいるのに。

作者・・菅原道真=すがわらのみちざね。845~903。
    正一位太政大臣。藤原時平の讒言(ざんげん)
    で太宰権師(だざいごんのそち)に左遷され、
    大宰府に配流された。配所で2年後に没する。
    当代随一の漢学者。
 
出典・・新古今和歌集・1694。
 


**************** 名歌鑑賞 ****************

 
わが宿は 越の白山 冬ごもり 行き来の人の
跡かたもなし
                良寛
              
(わがやどは こしのしらやま ふゆごもり ゆききの
 ひとの あとかたもなし)

意味・・私の家は、越後の白い雪に覆われた山の所にあって、
    冬の間は中に閉じこもってしまう。そのため、行き
    来の人はもちろん、足跡も見られないことだ。
 
    雪が降り積もった厳しさを詠んでいます。

 注・・越(こし)=越後。福井・石川・富山・新潟。

作者・・良寛=りょうかん。1758~1831。新潟県出雲崎町
    で生まれた。
 
出典・・良寛全歌集。


**************** 名歌鑑賞 ****************

 
いのちなき 砂のかなしさよ さらさらと 握れば指の
あひだより落つ     
                    石川啄木
              
(いのちなき すなのかなしさよ さらさらと にぎれば
 ゆびの あいだよりおつ)

意味・・しっかりと掴(つか)まえていないと砂は
    指の間からさらさらと落ちる。悲しい事
    に、それが命のない砂というものだ。

    主体性のない砂のように、社会の流れに
    押し流されるこの自分の悲しさよ。
    掴まえた幸福も、気を緩めると砂と同じ
    ように逃げていく。

作者・・石川啄木=いしかわたくぼく1886~1912。
    26歳。盛岡尋常中学校を中退後上京。「一
    握の砂」「悲しき玩具」などの歌集を刊行。
 
出典・・ 一握の砂。


**************** 名歌鑑賞 ****************


最上川 瀬々の岩波 せきとめよ よらでぞ通る 
白糸の滝
                詠み人知らず

(もがみがわ せぜのいわなみ せきとめよ よらでぞ
 とおる しらいとのたき)

意味・・最上川よ、瀬々の岩波をせきとめてくれまいか。
    流れの速さに、いま、私はあの白糸の滝へは寄
    らないで通っていますよ。せっかく白糸を撚(よ)
    るような、滝だったのに。

    川下りをしている時に白糸のような滝を見つけ
    て詠んだ歌です。

 注・・瀬々=多くの瀬、あの瀬この瀬。瀬は流れの急
     な所。
 
出典・・義経記。
   


***************** 名歌鑑賞 ****************


住江の 岸の姫松 人ならば いく世か経しと
言はましものを
              詠人知らず

(すみのえの きしのひめまつ ひとならば いくよか
 へしと いわましものを)

意味・・住江の海岸の老松が人間であったならば、いった
    いお前は何年ぐらいたった木なのかと尋ねてみた
    いものだ。
 
    松の大木を見て感動したものです。

 注・・住江の岸=大阪住吉付近の海岸。
    姫松=本来は小松の意だが、ここでは老松の愛称。
 
出典・・古今和歌集・906。

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