*************** 名歌鑑賞 ****************
きりぎりす いたくななきそ 秋の夜の 長き思ひは
我ぞまされる
藤原忠房
(きりぎりす いたくななきそ あきのよの ながき
おもいは われぞまされる)
我ぞまされる
藤原忠房
(きりぎりす いたくななきそ あきのよの ながき
おもいは われぞまされる)
詞書・・人のもとにまかれりける夜、きりぎりすのなき
けるをよめる。
けるをよめる。
意味・・こおろぎよ、そんなに悲しそうに鳴いてくれるな。
秋の夜は長いけれど、それと同じように長くつき
ない思いは、この私のほうがよほどまさっている
のであるから。
秋の夜は長いけれど、それと同じように長くつき
ない思いは、この私のほうがよほどまさっている
のであるから。
この家の主人の嘆き悲しむのを見て、私のほうが
もっとつらいのですと、我が心の寂しさを詠んだ
ものです。
もっとつらいのですと、我が心の寂しさを詠んだ
ものです。
注・・まかれりける=訪ねて行った。
きりぎりす=今のこおろぎ。
な・・そ=禁止の意味の助詞。
きりぎりす=今のこおろぎ。
な・・そ=禁止の意味の助詞。
作者・・藤原忠房=ふじわらのただふさ。928年没。遣唐使。
山城守・正五位下。
山城守・正五位下。
出典・・古今和歌集・196。