***************** 名歌鑑賞 ******************
僧朝顔幾死にかへる法の松
芭蕉
芭蕉
(そうあさがお いくしにかえる のりのまつ)
詞書・・奈良の当麻寺に参詣すると、庭に植えられている松は
およそ千年もたっているように見える。大きさは、荘
子がいう「牛を隠す」というほどの大きさである。寺
の庭に植えられた松という仏縁で、斧で切り倒される
ことがなかったのは幸運なことである。
およそ千年もたっているように見える。大きさは、荘
子がいう「牛を隠す」というほどの大きさである。寺
の庭に植えられた松という仏縁で、斧で切り倒される
ことがなかったのは幸運なことである。
意味・・この寺の僧も朝顔も、今まで幾代となく死に代ったこ
とだろう。それなのに、この松は寺の庭に植えられて
いたという仏縁で千年の長寿を保ったのはまことに尊
いものだ。
とだろう。それなのに、この松は寺の庭に植えられて
いたという仏縁で千年の長寿を保ったのはまことに尊
いものだ。
荘子のいう「牛を隠す」は「櫟社(れきしゃ)の樹を見
る。その大きさ牛を隠す」ということで、櫟(くぬぎ)
の木は材木にならず役に立たないので人間に伐られな
い。それで牛を隠すほどの大きな木になり寿命を全う
することが出来る、という意味です。
る。その大きさ牛を隠す」ということで、櫟(くぬぎ)
の木は材木にならず役に立たないので人間に伐られな
い。それで牛を隠すほどの大きな木になり寿命を全う
することが出来る、という意味です。
この櫟や老松のように、天から頂いた寿命を病気など
せずに全うしたいものです。
せずに全うしたいものです。
注・・法の松=寺の庭に生えているという仏縁の松。そのため
千年の老松になるまで寿命が全う出来た。
千年の老松になるまで寿命が全う出来た。
作者・・芭蕉=ばしょう。1644~1694。
出典・・野ざらし紀行。